7月のある日の感想

すべてはオタクの妄想

『宇宙よりも遠い場所』

1つ目の記事から1年前の作品ですが.....

2018年NO.1アニメとの声も多い『宇宙よりも遠い場所』

これまで観る機会を逃していたところで, 12/31にニコ生で一挙放送があり, やっと視聴することができたので, 4人のキャラクターとそのほか心に残ったことについて書いていきたいと思います 

あらすじに沿ってなくて話があっちこっちにいってるのはご容赦ください

 

 

 

『宇宙よりも遠い場所』キービジュアル

©YORIMOI PARTNERS / yorimoi.comより

キャラクターについて

 

玉木マリ

友達となにか大きなことができるなら「北極でもよかったかも」という言葉にあるように, 南極に対するこだわりはあまりなかったキマリ 報瀬と話をするうちに, 実際に南極を旅するうちに, 次第に南極に惹かれていきます

 

キマリは他の3人に比べて, 特殊なバックグラウンドを持っているわけではありません  ただ, "青春したい"という漠然とした思いを持っているだけです でも, この漠然とした憧れこそ, 私が『よりもい』に一番共感できるポイントでした

なにか満ち足りない思いがあって, 何かしたいけど何をしたらいいのか分からない

学生時代を思い返して, 何かもっとできることがあったのではないかと後悔する

日常の中でそういった思いがよぎることは少なからずあって, 

キマリはそんな私に一番近い存在であり, この物語の主人公が報瀬ではなくマリなのも そういった意味があるように感じました

 

三宅日向

 日向はいつも明るく冗談を飛ばして場を盛り上げるムードメーカー その裏返しに, 「自分のことは大丈夫だから気にしないで」というスタンスでいることも多い印象

6話ではそれが強く表れていて, 報瀬には遅れるのが嫌だと遠慮せずに言ってほしいと言う一方で, 自分が悪いんだから先に行っててよ, と自分自身は仲間に遠慮している姿が描かれています

その陰には部活動の同級生に嫌がらせを受けて高校に行けなくなってしまった過去が...

先輩の反感を買い, 自分のことを応援してくれたはずの同級生に裏切られたことが, 友情だと思っていたものが簡単に崩れてしまうのではないかという不安を日向に抱かせる原因になったのだと思います  人との関わり方に自信がもてなくなって, 自分が先輩に遠慮していれば, 同級生の言葉をそのままに受け取っていなければ, という後悔もあったのではないでしょうか

だからこそ, 日向がつらいときに彼女を助けられるのは, 自分だけを信じてここまで進んできた報瀬だったわけです 11話ラストの報瀬の言葉は, 南極への冒険が日向にとって, 後ろ向きな過去からの逃げ道ではなく, 前向きな新たな世界のはじまりなんだと気付かせてくれました それは日向にとっても同じだったのではないでしょうか

 

白石結月

小さいころから芸能界にいた影響で, 友達ができたことがない結月

結月が学校で声をかけた同級生2人も決して悪い人間ではなかった気がします また別の出会い方をしていたら友達になることができたかもしれない(LINEグループから2人が退会していく描写は残酷なものだったけれど)

芸能界にいたために友達ができない , という設定では, その子自身がこんな生活は嫌だと親であったり, マネージャーであったりから逃げ出そうとする場合が結構あります

でも, 結月はとてもまじめで, 友達を作りたいという思いを抱えながらも, 仕事から逃げようとは決してしない  それは10話でも現れていて, ドラマの仕事を受けることは, 3人に相談する前から決めているわけです   

だから, もしこの南極へ3人と一緒に旅することがなければ, 結月に友達ができることはなかったかもしれない そう考えると, 仕事の成り行きで受動的に南極にきた結月だけれど, 南極に来て一番人生が変わった人物だったのかもしれません 

 

小淵沢報瀬

南極で母を亡くし, その実感が得られないまま, 心のどこかに母がまだ生きているのではないかという思いを抱えながら南極を目指す報瀬 

いうまでもなく, 報瀬のどうしても南極へ行きたいという強い思いがストーリーを動かしていくことになります その強さには, 「ざまあみろ」に表されるように今まで自分を否定してきた人たちを見返してやりたいという思いも含まれているのでしょう

こういった彼女の清々しい性格が、シリアスな展開の中でも爽快さを感じさせてくれました 11話の最後に日向の友達に放った言葉も, 悔しい思いがありながらもそれをぶつけられない日向を過去から解き放つ, 報瀬だからこそ言えた胸のすくセリフでした

 

 しかし, 南極についたものの思った以上の感動が得られず, 何も感じないまま終わってしまったらどうしようという不安を抱くことになります 

 4人の中で南極への思いが一番強かったはずの報瀬 でもその報瀬も, 南極に行ってどうしたいのかという具体的な願いは持っていなかった 南極に行けば母の死に対する「何か」が変わるはず, 母に関する「何か」が分かるはず その思いだけでここまでやってきたのに...

 がむしゃらに頑張ってきた報瀬だからこそ感じる, ゴールについてしまった時の喪失感

そこから始まった12話は, これまで報瀬の思いに引っ張られるようにそれぞれの「何か」をつかんだ3人が, 報瀬にとっての「何か」を探すという展開になるほど....と感心しました

     

報瀬のメール

上にも少し書きましたが, 物語のクライマックスともいえる12話のシーン, そうくるか...と思わず息をのむ演出でした 

 

ここまで何度も描かれてきた報瀬が母親宛にメールを送るシーン 1度も返信は来ず, 母がそのメールを見ることはないと分かっているはずだけど, でも母が死んでしまったのが現実とは思えない そんな報瀬の心情を表していたのがあのメールでした

報瀬の母の残したものがないか探すシーン, これまで報瀬の気持ちに引っ張られるように南極に来た3人に, 見つからなくても仕方ないと気弱に声をかける報瀬が印象的です もし, 何かが見つかっても, 夢のような世界から覚めなかったらどうしようという不安, あるいは母の死が決定的になることへの怖さもあったのかもしれません 

 そして見つかる母のノートパソコン

届いていなかった報瀬からのメール

増えていく未読件数の数字

自分を信じてここまで来た報瀬にとって, 自分が送ったメールをあんな形で見ることになったことは, 母の死を現実のものと受け止めて, あの日から続いていた夢から醒めるのには十分を通り越して残酷なことだったでしょう

一方で, 夢の中にとらわれていたこれまでの日々が, メールを通して夢から醒めた報瀬のもとへと戻ってきたようにも見えました 母を亡くした悲しさ, これまで南極に来るまでに頑張ってきた努力, キマリたちとの日々, 感じていなかった南極にたいする感動, そういったすべてのものと一緒に, 報瀬はあの瞬間に夢から現実へと戻ってきたのだと思います

 

船の上でのオーロラ

 13話ラスト, 帰りの船で, 4人は見ることができないと思っていたオーロラを目にすることになります

ここまで4人がそれぞれの「何か」をつかむうえで, 実は南極という要素はあまり重要ではなかったかもしれません それでも, この最後のオーロラは, 何かをつかんで成長した4人への"南極"からの贈り物になりました

夢の中にいた報瀬にとって今まで見てきた南極の景色は, 母の写真そのままで, 心を大きく揺さぶるものではありませんでした しかし, 最後に見たオーロラは, 現実に戻ってきた自分自身の目で, 3人の仲間と見た最高の景色でした

母のメールに対する「知ってる」に, 報瀬が南極に来た意味が詰まっていたように思います

 

「何か」に対する憧れ

マリのところですでに結構書いてしまったのですが, 私は頻繁に, 「何かしたい」という思いに駆られることがあります まさにマリのように

いろいろなものに手を付けては3日坊主になってしまうことが多くて, このブログもその一環でもあります

いったい何をしたらその思いは満ち足りるのだろう

その問いに『よりもい』は旅に出ようと答えています

これまで知らなかった世界へ飛び込めば, これまで知っていたはずの世界でさえも違った景色に見えてくるはずだから, と

 物語を読む(観る)ことは, まさに自分の知らない世界への旅でもあります 美しく描かれる南極の景色を, マリを通して, 他の3人ともに体験する その充足感こそがこのアニメが幅広く支持されている一因にもなっているのではないでしょうか 私たちが『よりもい』を見て感じたものをマリも感じていたんだと思います

 

全体を通して

物語としてうまいなぁ...と感じたのは, その回のうちに生じた問題を, その回のうちに解決していくという構成です 

5話しかり11話しかり, 全体を通して, 観ている方の気分が落ち込んで1週間立ち直れなくなってしまいそうなシリアスな話題が続いているこのアニメ それなのに物語の雰囲気が暗くならずに, 観ていて楽しくなってくるのは途中でギャグをはさみつつ 各話の最後には4人が前向きな気持ちになっているからです

問題発生を次回への引きに使うアニメも結構ある中, この構成にしたのは素晴らしいと思います

 

最後に何と言っても南極の魅力です 同時期にやっていたゆるキャン△( こっちはリアタイ視聴してました )もそうだったんですがまだ見たことのない景色, しかも実際にこの地球上にある景色を見ると, 行ってみたいという気持ちが自然と湧いてきます

前項では物語を読むことも旅, と書きましたが実際に自分で旅に出た時の感動は比べ物にならないのだろうなあ...

南極は難しくても, 北極圏(北欧とか)なら思い切りがあれば行けそうかも...などと(めぐみではないですが)ググっているところです

オーロラ見たいなぁ....